2023.10.19 志賀高原 渋池・四十八池を訪ねて byゲンヤさん

北海道の湿原訪問記事を投稿してくれたゲンヤさんが秋の深まる志賀高原を訪れ、その探索記を書いてくれてました。

それでは、ゲンヤさんの記事をどうぞ!

はじめに

10月19日(木)、晴れ

茶色に色づいた湿原、華やかさが無くなると人の波もなくなりました。

降雪までの1ヶ月半くらい閑散とした志賀高原の渋池・四十八池・高原の紅葉を訪ねて参りました。

夏の景色が残る温泉街からつづら折りの山間道路に差し掛かった標高1,000 mあたりはブナ、ナラなど広葉樹の葉が黄色に染まり始めていました。

さらに蓮池のある標高1,500 mでは紅葉がかなり進んでいました。

標高のもっと高い所ではオオシラビロ、コメツガ、クロベ、トウイヒなどの針葉樹の森にダケカンバの紅葉が目立ちました。

志賀山一帯は25万年位前の噴火で形作られた火山で溶岩の表面に出来た窪地に水が溜まり琵琶池、蓮池、丸池。

溶岩流に堰き止められて出来た大沼池。

火口にできた鉢池などがあります。

湿原にも河川の最上部に出来た四十八池湿原、熔岩の窪地に出来た前山湿原など今は皆貴重な自然を造り上げていますが色々な生い立ちが有るようです。

キョロキョロ見て歩きます。

今回の志賀高原 湿原・池巡りは、硯川から青色→白色→黄色のコースを歩行。

大沼池入口からは清水新道(地図未記入)に入り信大自然植物園へ抜けました。

大沼・渋池コースの案内図

長野市郊外湯田中迄の木々は緑色です。

上がるに連れて木々の葉の色が変わっていき、標高1500mの丸池・蓮池では紅葉が進んでいました。

来月には葉が落ちて木だけになるでしょう。

山の頂上近辺は針葉樹の緑の森です。

蓮池の紅葉

ワタスゲの白い花も終わり、クサモミジの茶色一色の平原

前山湿原

シラビソやコメツガの針葉樹の森の中の池に浮島が点在する高層湿原。

夏の浮島の上は緑色ですが今は茶色。

渋池

老木の根の周りに苔がびっしり。

四十八池への山道の脇

池塘と浮島の湿原の中を一本の木道が森の中に入り込んでいます。

ここでは丸太を土台にして板を打ち付けた木道、色々な作り方があるようです。朽ちた板の部分は新しい板に取り換えありました。

四十八池の木道

山に囲まれた窪地に水が溜まり湿原へ。

前のラクダのこぶ山の左は志賀山、右は裏志賀山です。

湿原はすっかり茶色ですが、一ヶ月前はまだ青々としていたでしょう。

四十八池の周辺

四十八池の先に裏志賀山があります。

頂上には、志賀山神社と書かれた小さな石の祠。

裏志賀山(2,040m)山頂

裏志賀山の頂上から下を覗くと、まず眼に入るのは大沼池。

山に囲まれた志賀高原最大の池です。

眼下に大沼池

右の方に眼を移すと先刻まで歩いてきた、四十八池が見えます。

中央少し左上の茶色の部分です。

山の窪地に周囲の木々にすっぽり覆われて、下で見ているより狭く見えます。

眼を移せば四十八池

この散策道では、行く先々に大木が茂っていました。

冬の最低気温が-30℃になる気候の中で生き抜いてきました。

眼前の木は、トウヒではないかと思いますが、何歳なのでしょうか?

散策道の大木

大沼池は、標高1,694 mに位置する水深26 m、周囲5 kmの湖沼です。

志賀山から北東へ流れた安山岩質の溶岩流は、横湯川を堰き止めて大沼池を誕生させ、溶岩流の上は亜高山帯の針葉樹林(原生林)となったのです。

赤石山から流れ出る赤石沢に硫酸イオンを含む強酸性の鉱泉が湧き出している。

美しいコバルトブルーもそのためです。

大沼池には魚は生息していません。

環境省の平成3年度の湖沼調査によれば透明度は13.5mと長野県でトップ、日本国内でも6位にランクインしています。

大沼池 岬の鳥居 と湖面

大沼池入口より少し奥。

岩の上でも木はすくすく生きています。

岩の上の木

溶岩流のゴロゴロ岩の上に長い年月を掛けて造り上げた、苔と針葉樹の密林。

あちらこちらに穴が開いていますが溶岩流の跡と思われます。

原生林の中。

大沼の池尻の下流は、窪地が池になりました。

池の底に2本のパイプが敷設してありますが、何の目的だろう。

逆池

大沼入口から、急斜面は木道で繋ぎジャイントスキー場を横断、信大植物園脇の長池に至る原生林の中を切り開いた道です。

今日のコース中一番の鬱蒼とした森の中の道でした。スキー場横のコース選択に注意。

清水新道

あとがき

歩行者は少なく 閑散とした散策でした。

7:40硯川出発・・・蓮池着14:16。

14km、登り590 m、下り800 m、歩行6:40

今まで志賀高原の心象、情景はまず温泉、次に冬のスキー、国道脇の湖で降りて周囲を眺めるのだったと思います。

今回、湿原散策で地形植生を調べ、一部を歩いてみました。

舗装道路の脇から散策道が針葉樹林・湿原の中にも整備され、人工物が少なかったです。

下調べ以上の自然に接する事が出来たように思います。

渋池・四十八池では地塘・浮島を目の前で見る事ができ、「湿った草原=湿原、その部分は森林の成立が妨げられている」まさにその通りでした。

「湿原」の分類では何処に区分けされるのだろうか?

前山湿原はかなり土砂が入り込んだのか乾燥化しているので「湿性草原」かもしれない。

散策道から見るトウヒ・コメツガ・オオシラビソ・クロベなどの亜高山帯に生える針葉樹の密林の中を半日歩き、樹高が高く、幹廻りが太く、岩の上にも根を張っているのには生命力の強さに感動しました。

この自然がいついつまでも残りますよう。

※大沼池の解説:引用先 ネット 信州STYLE 大沼池

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