湿原と一口に言っても、その姿は多種多様です。
地域や標高により全く異なる姿を見せてくれるため、とても面白いです。
ここでは、私の好みを存分に交えながら、各地の魅力的な湿原を紹介していきたいと思います。
目次
湿原100選の一覧
1. 八幡平(岩手県八幡平市)
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広い空と一帯に広がる緑が美しい湿原です。
山頂ゆえに空が広く、晴れた夏の日には、視界が青空と緑の湿原で埋め尽くされます。
また、火口湖や池塘が点在しており、歩くたびに変化していく風景はハイキングの楽しさを引き出してくれます。
ミズバショウ、ニッコウキスゲ、ワタスゲなど高山を彩る代表的な花も楽しむことができます。
非常に良く整備されており、湿原部へのアクセスが容易であることも魅力的です。
周辺には、大場谷地、大沼、黒谷地湿原、御在所湿原などがあり、この一帯が湿原の宝庫です。
おすすめシーズンは、8月上旬です。
晴れやすく、ニッコウキスゲが咲くので、見どころの多い季節です!
2. 姫川源流自然探勝園(長野県白馬村)
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夏も尽きることなく湧き出る清らかな源流が魅力です。
河川の源流を間近で見られる貴重な場所でもあります。
こんこんと湧き出る水を見たいがために、何度も訪れてしまう場所です。
名水100選にも選ばれており、水質の良さは環境省のお墨付きです。
春先には、大量の雪解け水が一帯をうるおします。
その結果、フクジュソウやカタクリ、キクザキイチゲ、ニリンソウなどの様々な花が見られます。
おすすめのシーズンは、これらの花が観察できる3月下旬~5月上旬です。
3. 矢ノ原湿原(福島県昭和村)
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周囲をブナ林に囲まれた沼のような見た目の湿原です。
低層湿原が広がり、その一部に高層湿原が見られます。
8万年前に形成されたと考えられており、日本で2番目に古い湿原です。
湿原が歩んできた時間の流れに思いを馳せながら散策してみてはいかがでしょうか?
湿原のほとりには、代官清水と呼ばれる湧水があり、水を汲みに来る人もいるほどです。
春にはミズバショウやミツガシワ、ワタスゲ、ヒツジグサなどが見られます。
秋の紅葉の美しさは筆舌に尽くしがたいです。
おすすめのシーズンは、4月から6月上旬と10月下旬から11月上旬です。
芽吹の時期と紅葉の時期は甲乙つけ難いです。
4. 八島ヶ原湿原/八島湿原(長野県諏訪市)
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霧ヶ峰にある日本最南端の高層湿原です。
車山湿原や踊り場湿原を含めた霧ヶ峰湿原植物群落は、国の天然記念物に指定されています。
また、湿原の周辺には遺跡も発見されています。
広大な湿原の作り出す美しい風景は、多くの観光客を惹きつけています。
春にはシュレーゲルアオガエルの合唱を聞くことができます。
夏には変わるがわるに色々な花が咲き、賑やかになります。
特にニッコウキスゲは有名で、多くの観光客が訪れます。
真冬にも湿原に至る道が整備されており、凍てつく冬景色も楽しめます。
おすすめの時期は、8月です。
霧ヶ峰の名の通り、夏の早朝には霧が立ち込めます。
気温の上昇とともに霧が抜けて、顔を覗かせる青空は圧巻です。
花も多く見られ、ハイキングにも良いと思います。
5. 火打山 天狗の庭 (新潟県妙高市)
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百名山の1つである火打山にある湿原です。
湿原の近くに木道が設置されており、湿原を堪能することができます。
さらに山頂に向かう途中、天狗の庭全体を見下ろすことができ、その風景は格別です。
険しい山々と共に壮大な風景を作り出しているこの湿原を見ると、最初に見つけた人の感動はいかほどかと思いを馳せてしまいます。
登山を伴う大変な道のりですが、それに見合うだけの価値を提供してくれます。
6. 獅子ヶ鼻湿原(秋田県にかほ市)
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鳥海山の山麓にある湿原です。
豊かな森と大量の湧水が神秘的な風景を作り出している場所です。
湿原内には、出壺と呼ばれる湧水地が点在しています。
鳥海山の地下水に由来する大量の水が、尽きることなく流れ続けています。
異形ブナと呼ばれる変わった形状をしたブナが群生しており、中でも樹齢300年とされるあがりこ大王は、圧倒的な存在感を示しています。
鳥海マリモという獅子ヶ鼻湿原固有のコケも生息しており、生物多様性を支える重要な場所です。
散策路が整備されているため、トレッキング初心者でも安心して楽しめます。
東北の原始的な森を楽しめる貴重な湿原です。